兵庫県の公立高校には、複数志願選抜で入る高校と単独選抜で入る高校があります。

その複数志願選抜には、制度の穴があったのです。

◆おさらい◆
単独選抜とは昔ながらの高校入試の方法で、受けたい高校を1つ決めて、そこを受験するというやり方です。一方、複数志願選抜では1回のテストで2つの高校の合否判定を受けられ、しかも2つのうち第一志望のほうの合否判定では第一志望加算点というのを貰えるという入試なのです。第一志望加算点は結構大きくて第二学区では20点貰えます。これは入試の40点分に相当するのですよ。(合否判定では入試の得点を半分にするので。)

普通科高校の3月実施の一般入試はすべて複数志願選抜になります。大多数が普通科高校に入るので、大多数が複数志願選抜を受けることになります。(工業や商業は単独選抜。)

複数志願選抜で第一志望、第二志望をどこの高校にするかを考えるときに、貰える20点をあてにして出願校を決めます。

そうして出願校を決めて、実際に出願して、新聞に発表される倍率を見て・・・・・・

ガチョーーン! めっちゃ倍率が高いやんっ!

となることは、あり得ます。そのとき、別の高校にしとけば良かったなんて後悔もするわけです。

それならということで、志願変更という手続きが用意されています。

しかし、複数志願選抜において第一志望加算点というものは、その高校に行きたいのだという生徒の強い思いをかなえてあげようという制度なので、倍率を見てから第一志望校を変更することは許してもらえないのです。キミはそこに行きたいと言ったじゃないか、だから加算点もあげることにしているのに、何をいまさら・・・・ということです。

ところで加算点は複数志願選抜での第一志望校だけに与えられます。単独選抜には関係ありません。よって第一志望校を複数志願選抜の高校から単独選抜の高校に志願変更するのは差し支えありません。単独選抜の高校から別の単独選抜の高校に志願変更するのもOK。単独選抜の高校から複数志願選抜の高校へ志願変更するときに制度上の問題があったのです

単独選抜の高校に出願したあとで、倍率を見てから複数志願選抜の高校に変更することが許されていたわけで、これを悪用する出願方法が生まれました。名付けて偵察出願。

◆偵察出願◆
実際には複数志願選抜の普通科に行きたいくせに、いったん単独選抜の工業高校に出願します。そして、倍率が新聞発表されたあとで複数志願選抜の倍率を見ながら手頃なところを選んで、かつ第一志望加算点も貰うという裏技のことを偵察出願というのです。

そんなことするヤツはいないでしょうが、制度上の穴になっているのでこれを是正しようという意見はずっとあったのです。

◆偵察出願は不可能に◆
で、突然ですが、次の入試(平成31年3月の入試)から改良すると昨日発表されました。

リンク先は教育委員会です。この書類の下線部でいうようなことができるのは、このあたりだと尼崎双星です。同じ高校の中に普通科と工業と商業を持っているので、この書類の下線部でいうような志願変更が可能になります。これができる高校は相当に限られてきますし、偵察目的の人がいたとしても他校を選べなくなったということです。なおこの変更のパターンでも第一志望加算点はもらえます。しかし、複数志願という名に反し、第二志望校の設定はできません。

ということで、つまり偵察出願は不可能になったということです。

しかしながら、これで次のような人が救えなくなりました。。。

ギリギリまで専門学科か普通科かを悩んで、専門学科に出願したものの、倍率を見てやっぱり普通科に変えたいと思った人たち、、、、

そんなの出願前に悩めよと切り捨てるのなら、ほかの志願変更についても同様に切り捨てないのはなぜだ?

言いたいことはまだある。改革初期にやっていた「その他校の選択」を切り捨てたのはなぜだ?