維新塾のブログでは、複数志願選抜というのは定員割れでも落ちるということをお伝えしています。

複数志願選抜では、その高校を第一志望として出願した人の数で倍率を計算して発表されます。その高校を第二志望にしている人は計算に入っていないのですね。第二志望としての出願者も数に入れると定員割れにはならないのが大部分なのですね。

ここで複数志願選抜においては「定員割れ」という言葉には、二種類あるということを確認しておきましょう。

ひとつは志願者数の定員割れ、もうひとつは合格者数の定員割れです。

合格者数の定員割れがおこるのは何故かというと、第二志望として出願するには勇気がいるような偏差値的に高い学校では、そこは必然的に第二志望出願が少なくなるので、たまたま第一志望出願者も少なかったときに合格者数の定員割れという事態になってしまいます。今年の市立西宮のパターンですね。

具体的な数字で説明しましょう。
H31春の入試での数字です。市西と甲山を例に挙げます。

市立西宮は定員240人のところ、第一志望出願者数は232人。発表された倍率は0.97倍です。

市立西宮への第二志望出願は13人でした。
ちなみに倍率が県教委から発表されたときは、市西の第二志望出願はゼロだったのです。ところが倍率が公表されたあとで、13人も第二志望を変更してきました。

制度上、倍率を見てからの第二志望校の志願変更は可能です。

倍率を見て、第二志望出願を市西に変更した人が13人いて、そのうち4人は自分の第一志望校は落ちたけど第二志望として市西に合格しました。どこを落ちて市西に合格になったのかはわかりませんが、入試としては作戦勝ちですね。ただし入学後の勉強は相当頑張らねばなりません。

話が長くなりましたが結論として、市西は定員240人に対し合格者数は235人、そのうち第一志望出願者からは232人のうち欠席1名で受検した231人が全員合格。第二志望出願13人のうち4人が市西に合格。あとの9人はそれぞれの第一志望校へ合格

それ以外に市西への出願はなく、残念ながら市西は合格者数が5人不足するという事態になりました。


一方、甲山高校は定員170人、第一志望出願157人、発表された倍率は0.92倍でした。同じ定員割れでも甲山は第二志望出願が、なんと206人!
この甲山第二志望者206人のうち、結構な人数が自分の第一志望校を落ちて甲山に回ってきますので、甲山第一志望の157人(定員170ですよ)のうち、何とか公立高校に合格したのは136人しかいませんでした。定員割れなのに21人がアウトです。それでもちゃんと甲山は170人の生徒を確保しているのですね。合格者136人は全員が甲山に合格したわけではありません。よそへのまわし合格も含んでの数字です。複数志願選抜って怖いですよね。


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さて定員割れでも落ちるという話題のうち、「足切り」という言葉について書いてみましょう。足切りとは、ある受験者の入試の点数が想定よりも低いときに定員割れでも入学を認めないことをいいます。知的障害のある人が、定員割れの公立高校を受験して落ちたという記事がありますね。

これとは別の話ですが、高校入試で点数がめちゃくちゃ低い人でも、定員割れのときは合格させるのか、公立高校の校長先生に聞いたことがあります。答えは、「合格させますよ」とのことでした。そもそも校長にとって自校の生徒数が少なすぎるのはいろいろと負い目になるそうです。足切りなどしませんということでした。(ここでは某県某所の某公立高校としておきますね。)